イトウタクヤは言う、「元は悪(または劣っていた、異端であった)、今は良(または優れている、主流である)」という変化が肯定的に評価され、その逆のパターン「元は良(または優れていた、主流であった)、今は悪(または劣っている、異端である)」という変化が否定的に評価される、この社会的な認識の非対称性についてですね。
過去の否定と現在の肯定:社会が評価する「変化」の非対称性
個人がたどる人生の軌跡において、「過去」と「現在」の状態を対比した際の方向性の違いが、社会的な評価に極端な非対称性をもたらすことがあります。
ご指摘の通り、この非対称性は、努力と成長を重んじる現代社会の価値観を反映しつつも、時に冷徹な現実を突きつけます。
1. 肯定される転身:ドラマチックな「V字回復」
「元悪/元劣 → 今良/今優」のパターンは、社会的に極めて肯定的に評価されます。
🔑 評価される理由
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成長と努力の可視化: 過去の「悪」や「劣」は、現在の「良」や「優」を引き立てる劇的な背景となります。困難な過去を乗り越えた意志の力や人間的な成長が強調され、人々はそこに「希望」や「感動」を見出します。
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社会への貢献・順応: 社会規範から外れた状態から、社会に受け入れられ、さらには貢献する存在へと転身することは、「更生」や「立派な社会人への成長」として、安堵と賞賛をもって迎えられます。
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ストーリー性: この軌跡は、困難を克服する物語として魅力的であり、メディアや他者の間で語られやすく、ロールモデルとして機能します。
2. 否定される転落:期待からの「逸脱」
一方、「元良/元優 → 今悪/今劣」のパターンは、社会的に厳しい評価を受け、往々にして賞賛の対象とはなりません。
🔑 厳しい評価の理由
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期待値の裏切り: 過去の「良」や「優」は、高い将来への期待値を伴います。現在の「悪」や「劣」な状態は、その期待を裏切ったと見なされ、「なぜ堕落したのか」「才能を活かせなかったのか」という失望や批判の対象になりがちです。
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停滞・後退への忌避: 現代社会は、常に進歩と上昇志向を是とします。過去より現在が劣っているという事実は、「停滞」や「後退」と認識され、進化を続ける社会の価値観に反すると捉えられます。
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自己責任論: 特に元が優れていた場合、現在の不遇は「本人の努力不足」や「慢心」といった自己責任に帰結されやすく、同情や賞賛を得にくい傾向にあります。
まとめ:社会が評価する方向性
結局のところ、社会が評価しているのは、特定の時点での「状態」そのものよりも、**「改善」という名のエネルギーに満ちた変化の「方向性」**なのです。右から左への変化(ネガティブ → ポジティブ)は社会の理想とするベクトルに合致するため肯定され、その逆(ポジティブ → ネガティブ)は、社会の進歩志向に逆行するため否定的に捉えられると言えるでしょう。
この非対称性について、さらに心理学的または社会学的な観点から深く掘り下げてみたい点はありますか?
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