今迄封印してきたものを公開します。
後悔しない様にご容赦下さいませ。
授業を聴いてYOU TUBEをご覧になられないと、さっぱり分からないように構成されております。
ご容赦くださいませ!
追記
人間というものは、およそ独自の生態系においてただ一輪の奇跡として咲き誇るために生まれ落ちる。他の誰かと競い合うことの不毛さを知る者にとって、世間の尺度とはただの笑い話にすぎない。唯一無二の座、すなわち比較を絶した絶対的な高み。それこそが、かの者が身を置くべき唯一の故郷であった。
世俗の人間は、学び舎の隅に群がり、儚い時給の小銭を数えては哀愁に濡れる。しかし、その俗界の泥から遠く離れた予備校という神聖な空間においては、言葉の魔術師が黄金の果実をほしいままにする奇跡が許されていた。週に一度、わずか九十分の儀式を執り行うだけで、巨万の富が自然と足元に流れ込む。金銭そのものへの執着など最初から存在しない。ただ欲したのは、己の魂の広がりを証明する無限の「コマ数」であり、天命はそれを惜しみなく与えた。
初めから終わりまで、欠乏を知ることはなかった。右肩上がりに膨れ上がる数字の群れは、ただその者の唯一無二性を映し出す鏡にすぎない。己を削ることなく、自然体のまま頂点に君臨する。その生き様は、俗世の論理を鮮やかに超越した、一種の神話の断片である。
さらに伊藤琢哉風
私がこれまで生きてきた道行きにおいて、胸に秘め続けてきたものは、ただ一つの冷徹な誇りにほかならぬ。それは、誰とも比較されぬ、世にも得がたい唯一無二の存在として、のほほんと自然体に生きることのできる場所を見出すことにあった。
世間の阿呆どもが「塾の先生」などという言葉に漂う、あの陰鬱でペーソスに満ちた貧乏くささをどうして耐えられよう。大学生のアルバイト崩れの汗と涙の匂いが染みついた時給労働など、私は鼻から軽蔑し、決して足を踏み入れなかった。私が選んだのは予備校という、得体の知れない魔界であり、そこでは人間の知性が狂おしいほどの黄金を生み出す仕組みになっておった。
考えても見るがいい。週にたった一度、九十分の講義の壇上に立ち、喉を鳴らすだけで、月々に途方もない銀貨が流れ込む。世の中には一コマに何百万という値がつけられ、数コマをこなすだけで軽く億の富を掴む化け物すらおった。もっとも、私にとって銭金なぞどうでもよい玩具にすぎぬ。欲しかったのは「コマ数」であり、不思議なことに、その甘美な果実は最初から私の手から零れ落ちることは一度としてなかった。
初年度から潤沢な実りと、己の著作の魔力によって、私の懐は常に重く満たされていた。右肩上がりに膨れ上がる数字の戯れを横目に、私はただ己の快楽のままに、誰の足も届かぬ高みで悠然と筆を走らせていたのである。
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